2008年9月29日月曜日

選挙における供託金

衆議院選挙、
個人で出たいのならば、
300万円が必要です。

そしてその金額は、
他の先進諸国と比べて
高め・・・という話です。

選挙における供託金とは


選挙に出馬する際、
選挙管理委員会等に対して納めるお金です。
金銭もしくは債券などでおさめます。
当選もしくは一定以上の結果を残した場合には
供託金はすべて返還されます。
ただし、有効投票総数に対して一定票に達しない場合(供託金没収点)は
没収されます。

供託金は原則として現金または債券で供託します。
日本など一部の国では、国債を額面より安く入手し、
それを供託することで支出を抑えることができます。

供託金の制度はイギリスが発祥であるといわれています。
公職選挙において、
売名や選挙妨害を目的とした立候補の乱立を抑制し、
「政治家になりたいのならば
それなりの覚悟(供託金)を示すべき」
という観点からこの制度が設けられたとされています。



日本における供託金

日本においては、
1925年の普通選挙法の導入に伴い、
公職選挙ではじめて供託金制度が設けられました。
金額は2000円。


その後、選挙制度は幾度となく変更されていますが、
供託金制度は基本的な制度自体は現在までほとんど変わっていません。
もちろん、小規模な変更はありました。

供託金が没収された候補は、
公営選挙による公費負担の大部分を
受けられなくなるため、
供託金を没収された上に、
選挙費用の実費負担を強いられる
結果になります。

以下、2008年現在の、
日本の公職選挙における供託金の金額。

選挙 金額 供託金没収点の順
衆議院小選挙区 300万円 有効得票総数÷10
衆議院比例代表 600万円 (当選者の2倍を超える人数分)
参議院選挙区 300万円 有効得票総数÷議員定数÷8
参議院比例代表 600万円 (当選者の2倍を超える人数分)
都道府県知事 300万円 有効得票総数÷10
都道府県議会議員 60万円 有効得票総数÷議員定数÷10
指定都市の長 240万円 有効得票総数÷10
指定都市の議会の議員 50万円 有効得票総数÷議員定数÷10
指定都市以外の市の長 100万円 有効得票総数÷10
指定都市以外の市の議会の議員 30万円 有効得票総数÷議員定数÷10
町村長 50万円 有効得票総数÷10
町村の議会の議員 (供託金無し)

ここでいう「議員定数」は参議院選挙区においては通常選挙における当該選挙区内の議員の定数(選挙すべき議員の数が通常選挙における当該選挙区内の議員の定数を超える場合はその選挙すべき議員の数)、地方議会議員においては当該選挙区内の議員の定数(選挙区がないときは、議員の定数)のことをさす。

高額な供託金にもかかわらず
売名目的で立候補する資産家が、
現在に至るまで国政選挙を中心に
しばしば登場しており、
売名や選挙妨害を目的とした立候補の乱立を
抑制できているか、
疑問が残ります。

高すぎる供託金のため、
日本では有権者に対して
開かれた政治が行われないのではないか
という批判もあります。

さらに高額な供託金は日本国憲法第44条にある、
「両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によって差別してはならない。」
に明らかに反しており、被選挙権が資産の多寡によって制限を受ける事実上の制限選挙になっているとの指摘もあるため憲法違反であるとする解釈があります。

没収された供託金は、
国政選挙の場合は国庫に、
地方選挙の場合はそれぞれの地方自治体に
帰属することになっています。



海外における供託金

日本以外においては
イギリス、カナダ、
韓国、シンガポールなどにおいて
供託金制度があります。
いずれも日本ほど高額ではありません。

供託金没収点もイギリスが投票数の5%であるなど、
主要先進国では
日本ほどシビアでない場合が多くなっています。

海外における供託金の金額
選挙 金額
イギリス 約9万円
カナダ 約7万円
韓国 約150万円
シンガポール 約3万5千円
オーストラリア(上院) 約2万5千円
オーストラリア(下院) 約5万円
インド 約2万5千円
マレーシア 約90万円
ニュージーランド 約1万5千円
(※金額はいずれも国政選挙のものである。)

またアメリカ、フランス、ドイツ、イタリアなどには
選挙の供託金制度がなく、
フランスに至っては
約2万円の供託金すら批判の対象となり、
1995年に廃止しています。


では
どう立候補するのか?
というのが次の話(予定)です。

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