2008年10月11日土曜日

世界金融危機(2007,08-)

2007年からの世界金融危機は、
なぜ起こったのだろうか。
改めて、流れを振り返ってみる。


そもそも、世界金融危機は、2007年の米国の住宅バブル崩壊に始まり、現在まで続く国際的な金融危機のことである。危機の認識が遅れたために、2008年9月に大手金融機関の破綻など、金融危機が連鎖的に広がったのである。

住宅バブル崩壊
米国の住宅バブル崩壊。これは、平たく言えば、サブプライムローンを含めた住宅ローンの返済が大量に滞ったため、住宅ローンの貸し手である金融機関の資金繰りが行き詰まったということである。

なぜそんなに返済が滞ったのか。

それはローンの仕組みにあった。

住宅ローンの返済方法に問題が
アメリカにおいて、住宅ローンの返済方法として、当初数年間の金利を抑えたり、当初数年間は金利のみの支払いを行ったりと、当初の返済負担を軽減したものが普及し、そのため債務者が自分の返済能力を無視した借入を行うことが可能となり、そのような貸付が増加していた。
住宅の価格が上昇している場面においては、返済の破綻はこれまでは必ずしも表面化しなかった。債務者の所得が上昇せず、生活費が上昇して本来であれば返済に行き詰まる状況であっても、住宅価格が上がっている場合には、債務者は住宅価格の値上がり分について、担保余力が拡大することから、その部分を担保に、新たな追加借入を受けることができた(ホームエクイティローン)。これにより破綻を先延ばしするだけでなく、消費を拡大することもできた。

また、住宅価格が大きく上昇すれば、当該住宅を転売してローンを返済し、さらに売買差益も得ることも可能であった。当初負担の軽い返済方式の普及によって所得からすれば本来、住宅ローンを組めない人にまでローンを組む人が増えて、住宅ブームが拡大する間は破綻が表面化せず、むしろ住宅ブームを加速した。

つまり、「最初の返済は少なく、あとからその分を支払う」という仕組みだった。ただ、担保となっている住宅の価値があがっている場合は問題がなかった。

しかし、住宅価格上昇率が2006年に入って以降急速に鈍化すると、予測されたことだが、ローンの延滞率が目立って上昇を始めた
債務者の延滞が顕著となってくると、次は、ローンの貸し手である融資専門会社に対する融資に金融機関が慎重になり、専門会社の中には資金繰りが悪化して経営破綻する例が出始めた。

住宅ローンの証券化
サブプライムローンは危険度を分散させるために、貸付債権として証券化・分割され、複数の金融商品の構成要素の一つとして細切れに組み入れられた。サブプライムローンは高率の返済利息に裏づけられた高利率を期待できる貸付債権であった。一方で、本質的に高いリスクを内包するサブプライムローンを分割し、他の安全な証券と組み合わせて金融商品を構成することで、リスクを制御・抑制することが出来ると考えられた。そもそもハイリスクハイリターン金融商品には高い利回りがつくが、サブプライム証券の場合、ローリスクハイリターンに見せかけたのだ。

リスクヘッジがされない
さらに金融商品については、必ずしも構成要素にサブプライムローンが含まれていることを明示していないものがあった。実際にサブプライムローンの延滞率が上昇してくると、必ずしも当初の目論見どおりにリスクがヘッジされないということも起こった。

影響が広範囲に
ローンが細切れにされ、他のものと混ぜられ、証券として市場に出回っていた。
そしてそれは予想以上にリスクの高いものだった。

証券化は、資産取引を活発化させるという利点もあるが、証券化の対象資産(今回の場合はサブプライムローン)に問題があれば、影響が広範囲に及ぶというリスクがあった。


実はみんなで金を貸していたことになっていた
「不良債権」と「証券化に伴う影響の拡大」
簡単に言ってしまえば、
「貸した金が返ってこない」「実はみんなで金を貸していたことになっていた」
ということだ。
だがその影響はあまりにも大きい。

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